真壁建築計画工房






















☆計画案や計画中、個人事務所設立前の作品の抜粋です


■八雲のスタジオ 1991年 住宅+オフィス 東京都目黒区
 RC+S造 地下1階地上3階建て600u

 東京でも高級住宅地として評価が高い目黒区八雲に計画されたこの建物は、会社を経営する主人のヘッドオフィスを兼ね備えた住居として計画されました。住宅としての基本的な機能のほか仕事上のゲスト向けに設えられたプレゼンテーションルームや地下に設けた隠れ処的なプライベート・バー、ゲストルームをプライバシーを確保しながら強固な壁で囲い込むようにゾーニングされています。建物の全体配置はコートハウス型を採用し、明快な構成のなかでパティオやルーフテラスを配して各居室と繋がりのある一体感のある静けさと落ち着きのある空間としています。内外部の仕上は石(トラバーチンなど)、金属(鉄、ステンレス、アルミ)、土、ガラス、無垢の木といった素材のテクスチャーを活かし、構成する上で素の色を調和させるように努めています。道路から後退したファサードは株立ちの大きなケヤキを配し、街並の景観形成に寄与しています。また、この建築は1992年のイタリアの「石の建築賞」に選ばれました。



■資料館計画 2003年 和歌山県田辺市
 RC造2階建て725u

 歴史ある閑静な住宅地の一画に建設する資料館の計画です。旧家屋敷が建っていた広い土地を市が買い取り文化施設の建設地として利用するものでした。博物学者の故南方熊楠の関連資料館の計画ですが、敷地は立派なモミの木が生えていたので、植物の研究も行っていた熊楠だときっとこの大樹を残すことを希望する筈と与条件を満たす建物と共存させることをコンセプトに加えて計画を始めた。エントランスホールと売店、視聴覚室、各種展示スペース、所蔵庫と資料研究施設といった類似した用途毎に3つに分節した建物がモミの大樹を取り囲むように配しました。中庭のような空間が生まれた中央にはには池を配し周る回廊が休憩スペースでもあります。道路側の建物は外壁緑化を施し、背後の2つの建物は周辺の建物に多く使われている白と墨色の漆喰壁として環境との調和を図っています。




■高輪台の家計画 2004年 東京都港区
 RC+S造 地下1階地上3階建て330u

 敷地北側の前面道路の幅が4mと狭いので壁面を2m後退することで、建物の与条件である3層分をセットバックのない同一面で立ち上げ、整った存在感のあるアドレスを形成しています。また、壁面を後退することで車の切り返しのスペースを確保しています。建物のヴォリュームは北側と開口部の多い東側の住宅からの目線をカットするため南東側に纏め残った部分をパティオのような庭としています。この部分は半層の分高さを地下に沈め、日照の妨げにならないよう配慮しています。南西側に纏められた庭は、敷地外の西南に生い茂る緑に対し繋がるよう考えられています。この中庭は南側の2階建て木造住宅からプライバシーを確保するため2層分の高さの塀を設け、落ち着いた空間を形成します。基本的に敷地いっぱいに建つ外に対して閉じ、内側に開くコートハウス型の構造とすることで、セキュリティーやプライバシーの面で有効な方法となっています。




















■KISOタウンハウス計画 2005年 東京都町田市
 RC+木造2階建て1,110u

 南へ下る丘陵地に3層の住戸が10戸連なるタウンハウスです。各1層部分が鉄筋コンクリート造で傾斜した地盤に安定して馴染むよう埋め込まれ、内部空間は場所によって半地下の居住空間となっています。1層部分で各住戸は繋がり2〜3層部分は採光や通風に有効なように所々ヴォリュームを分節しています。木造の部分はフラットルーフでシンプルな形を繋げていますが、全体の平面形は高低差を伴いながら雁行し有機的で変化に富んだ共有外部空間としています。また、白を基調としながら住戸の性格を特徴付けたポイントカラーを配し各住戸の所在を分りやすいものにしています。共有エントランス部分の景観を整えるため14台分の3層機械昇降式駐車施設を地下に埋めています。










■上馬タウンハウス計画 2005年 東京都世田谷区
 RC造 地下1階地上3階建て960u

 世田谷の閑静な住宅地に最大限可能なの面積を確保しながら馴染ませるヴォリュームを模索した案です。全面銅をはエントランスへのアプローチの他は9台分の昇降式駐車場を設けていますが、景観の障害となるので地下埋設型としています。その背景となる建物のファサードは壁面緑化を施し、建物のヴォリュームによる威圧感の軽減と西陽の遮蔽の効果をねらっています。建物は地下1階地上2階建て平面上では4戸の区画ですが、縦に地上1階を共有する上下2戸で分割しているので合計で8戸が共存するタウンハウスです。世田谷の交通アクセスのよい地の利からアーティストやブリンクス、幼い子供がいる若い夫婦、SOHOや塾など若い層をターゲットとした空間提供を図っている。












■北京懐柔地区計画 2006年 中国北京市 研修施設+別荘
 RC造 2階建て2,900u

地区計画:SUP設計研究所
ランドスケープデザイン:株式会社 風景デザイン室

 北京市の北へ向う郊外丘陵地が始まる懐柔地区の中で桃などの果樹園が広がる敷地に計画された建築です。中国国家開発銀行が必要とする国際会議場の周辺施設として迎賓館、宿泊を併設する研修施設、総裁の別荘、及び外賓用の別荘群をこの広域な敷地に点在させています。これら施設のうち、宿泊を併設する研修施設と総裁の別荘の基本設計を担当しました。計画にあたり、自然が豊かで変化に富んだ周辺環境との調和を図るため、ランドスケーピングと共に建築の高低差を生かした配置と形態に努め、使用する材料についても自然環境に馴染むものを選びました。水平な屋根には緑を配し、勾配のある屋根材には地元で産出するスレート材を、外壁には玄武岩の野面積みとしています。








■富津の家 2010年 千葉県富津市
 木造 2階建て120u

 敷地は、浜辺が拡がる大貫の海岸から100mほどの距離で、松林の緩衝緑地帯を隔て、豊かな住環境を目指し宅地開発されたひと区画。設計案を考える上で、隣接する既成の住宅地区との関係の考察と周囲の造成地の殆どが更地か計画・建築途上という文脈が稀薄ななかで、建築協定が意図する統一のとれた景観に象徴される生活環境の一部になるよう配慮した。海が近く眺めも良く空が広いといったような恵まれた自然環境と呼応する、明るく楽しく、そして素朴に豊かな生活の舞台となるような棲まいの設計を行いました。




















■北軽井沢の家 2011年 群馬県北軽鵜井沢
 木造 平屋建て95u

 浅間山の雄大な姿を背景に、その恵まれた環境と四季折々に変化する景色と馴染むよう、簡素で飽きのこない、住み手が育てると味がます大らかで心地良い豊かな空間を計画しました。
建物の配置を考える上で選択肢が多くある広い敷地ですが、定めるために・各部屋から浅間山が望めること・西側道路と隣地からプライバシーが保たれる距離・駐車場の位置関係・アプローチは冬場の除雪が苦にならない距離・水道配管など公共インフラ工事費との関連・既存の樹木をできるだけ残すことこれらを考慮しました。室内の各所から浅間山が望めるよう主要な部屋をリニアに配し、それらを覆う片流れの大屋根は浅間山颪の当りを防ぐように軒側を低く抑えています。その軒を両側で支える袖壁と基礎から跳ね出したテラスが一体感をなし、連続する大きな開口が庭と繋がる開放的な表情が生まれます。要素とスケールを抑えたシンプルな形態と外壁の焼き杉板張りや主要な建具と戸袋を木製とすることで周辺の自然環境に馴染ませています。しっかりと断熱された室内環境のもと、冬場の暖房は床下に設けたヒーターびよる暖気と床のテラコッタタイルに蓄熱され緩やかに足下から暖められ、薪ストーブ勢いのある炎が視覚的にも心地良さを与えるアイテムです。









■横浜市本牧の家 2011年 神奈川県横浜市
 RC造 2階建て260u

 この住宅は外に対して閉じ内に開くといったコートハウス型を採用していますが、プライバシーに配慮しながら光や風、周辺の豊かな緑の景観を内部に取り込むように適宜開口で繋いでいます。その内部には屋根がなく四方を壁に囲まれたものと硝子の屋根がある広義のふたつのパティオが存在します。屋根がないパティオは様々な自然の事象と呼応する空間で、天気の良い日にはダイニングルームの延長として食事やパーティーに活用できます。硝子の屋根がある2層吹抜けのパティオは、2階を含めて回遊性のある内部動線の中心に位置します。差込む陽の光と共に時の流れを感じながらゆったりと過ごすことができるリビングを想定しています。季節に合わせ衣を替える如く硝子屋根の内側に装備された遮光スクリーンを開閉して陽の光を調整することができます。これら性格の違うふたつパティオを四季折々の気候に合わせて使い分けることで一層豊かなライフスタイルが想像されます。












■新吉田の家 2011年 横浜市港北区
 木造 2階建て118u

 この住宅は家族が共にするリビングやダイニングスペースを2階に設け、室内にいながら東側の豊かな緑地を常に感じられる室内環境づくりから始めました。その2階はおおらかな切り妻屋根の下、階段吹抜けを中心に据えて機能毎にさり気なく隔てながら、自然光と風の抜けがよい凡そワンルームの構成です。また、緑地側に設けた連続する掃出しの開口はウッドデッキのバルコニーへと続きます。玄関、各個室と浴室等の水廻りが配された1階を半地下のように地盤に掘り込むことで段差の少ないアプローチと縦動線の緩和を図っています。このことは建物の高さを抑えることにも繋がり、構造の安定化とともにバランスの良い勾配屋根の家型が形成されます
inserted by FC2 system